2005年 05月 28日
「黒人さん多いですか?」 |
日本へ帰国するにあたり、その間に誰かに家を貸そうと思って、
ウェブサイトでサブレット(また貸しのこと)を探していた。
先週、ある日本人の女性から電話があった。
「あの〜、掲示板で拝見したのですが、まだ空いていますか?」
残念ながらもう他の人に決まってしまった、と伝えると彼女は、
「他に心あたりなどないでしょうか?」と心細そうに聞いてきた。
私の友人も同じようにサブレットを探していたのを思い出し、
「いくらまで払えるのですか?」と聞いた。
「月に2000ドルまでなら大丈夫です」
は?!
2000ドル?!
もちろん場所や家によって値段は変わってくるけれど、その値段だったら、
マンハッタンで結構いいところに住める。
そんな彼女がどうしてブルックリンの家に住みたいなんて電話してきたんだろう?
「2000ドルもあったら、マンハッタンでちゃんとしたアパートが見つかると思いますよ」
「そうなんですか?私よくわからなくて」
彼女は5月の始めにNYへ来たばかりで、今は学校の寮にいるという。
そこも月に1800ドルを払っているので、NYで家賃の相場はそんなものと思い込んでいたらしい。
「あの〜、でも、誰かご存知ないでしょうか」
「私の友人がブルックリンで月に500ドルの家に住んでいて、
サブレットできる人を捜しているのですが、ルームメイトとシェアーでも大丈夫ですか?」
「全然だいじょうぶです!」と続いて彼女はこう言った。
「あの〜、やっぱりブルックリンって、黒人さん多いですかね?」
「え、どうしてですか?」
「私、はじめの頃、友達のいる148丁目(ハーレム)に住んでいたのですが、すごく怖くて、
だからすぐに出ちゃったんです」
「どうして黒人が怖いんですか?」
「なんていうか、やっぱりそういうのありますよ。やっぱり安全な地域で、
ドアマン付きのアパートがいいです」
ここで私は決して怒ったりはしない。
なぜなら、彼女は知らないだけだから。
そして、私も彼女の気持ちがわからなくもない、
と言ったら語弊があるかもしれないが、安全な国日本からやってきて、
ギャングのいるようなゲットーに住むなんて、やっぱり怖いと思うからだ。
ただここで言いたいのは、マンハッタンの一部を見て、これがNY!って思うのは少し違うということ。
それはNYだけを見てアメリカすべてを語るようなものだ。
ハーレムやブルックリン、ブロンクスには実に多くの黒人やラティーノが住んでいるのだから(*)。
時々、ジャーナリストの堂本かおるさんと会って、色々な話をする。
ブルックリンを一緒に散歩しながら、道ゆく人たちを眺めつつ、
私は彼女から、NYのエスニック事情をたくさん教わった。
件の日本人女性は、はじめにハーレムの148丁目に住んだ。
きっとそこで怖かったのは、貧しさから来る黒人たちのたたずまいだったのだろう。
でも、そこで「黒人すべてが怖い」と発言してしまうのは、やっぱり危ないなあ、と思ってしまう。
もし黒人すべてが怖いというのなら、アメリカ中西部の白人の占める割合の多い州へ行けばいいのに、と思う。
NYはたくさんの異文化を肌で感じられる都市の一つであり、それがこの街をもっと魅力的にしているのだから。
そういえば、どうして「黒人さん」なんだろう。
「白人さん」とは言わないのに。
(*)それを目で確かめたい方、堂本かおるさんが
「地下鉄に乗ってニューヨーク再発見!」という記事を「U.S. FrontLine(262号)」で書いています。
NYでは日系店で無料入手可。
ウェブサイトでサブレット(また貸しのこと)を探していた。
先週、ある日本人の女性から電話があった。
「あの〜、掲示板で拝見したのですが、まだ空いていますか?」
残念ながらもう他の人に決まってしまった、と伝えると彼女は、
「他に心あたりなどないでしょうか?」と心細そうに聞いてきた。
私の友人も同じようにサブレットを探していたのを思い出し、
「いくらまで払えるのですか?」と聞いた。
「月に2000ドルまでなら大丈夫です」
は?!
2000ドル?!
もちろん場所や家によって値段は変わってくるけれど、その値段だったら、
マンハッタンで結構いいところに住める。
そんな彼女がどうしてブルックリンの家に住みたいなんて電話してきたんだろう?
「2000ドルもあったら、マンハッタンでちゃんとしたアパートが見つかると思いますよ」
「そうなんですか?私よくわからなくて」
彼女は5月の始めにNYへ来たばかりで、今は学校の寮にいるという。
そこも月に1800ドルを払っているので、NYで家賃の相場はそんなものと思い込んでいたらしい。
「あの〜、でも、誰かご存知ないでしょうか」
「私の友人がブルックリンで月に500ドルの家に住んでいて、
サブレットできる人を捜しているのですが、ルームメイトとシェアーでも大丈夫ですか?」
「全然だいじょうぶです!」と続いて彼女はこう言った。
「あの〜、やっぱりブルックリンって、黒人さん多いですかね?」
「え、どうしてですか?」
「私、はじめの頃、友達のいる148丁目(ハーレム)に住んでいたのですが、すごく怖くて、
だからすぐに出ちゃったんです」
「どうして黒人が怖いんですか?」
「なんていうか、やっぱりそういうのありますよ。やっぱり安全な地域で、
ドアマン付きのアパートがいいです」
ここで私は決して怒ったりはしない。
なぜなら、彼女は知らないだけだから。
そして、私も彼女の気持ちがわからなくもない、
と言ったら語弊があるかもしれないが、安全な国日本からやってきて、
ギャングのいるようなゲットーに住むなんて、やっぱり怖いと思うからだ。
ただここで言いたいのは、マンハッタンの一部を見て、これがNY!って思うのは少し違うということ。
それはNYだけを見てアメリカすべてを語るようなものだ。
ハーレムやブルックリン、ブロンクスには実に多くの黒人やラティーノが住んでいるのだから(*)。
時々、ジャーナリストの堂本かおるさんと会って、色々な話をする。
ブルックリンを一緒に散歩しながら、道ゆく人たちを眺めつつ、
私は彼女から、NYのエスニック事情をたくさん教わった。
件の日本人女性は、はじめにハーレムの148丁目に住んだ。
きっとそこで怖かったのは、貧しさから来る黒人たちのたたずまいだったのだろう。
でも、そこで「黒人すべてが怖い」と発言してしまうのは、やっぱり危ないなあ、と思ってしまう。
もし黒人すべてが怖いというのなら、アメリカ中西部の白人の占める割合の多い州へ行けばいいのに、と思う。
NYはたくさんの異文化を肌で感じられる都市の一つであり、それがこの街をもっと魅力的にしているのだから。
そういえば、どうして「黒人さん」なんだろう。
「白人さん」とは言わないのに。
(*)それを目で確かめたい方、堂本かおるさんが
「地下鉄に乗ってニューヨーク再発見!」という記事を「U.S. FrontLine(262号)」で書いています。
NYでは日系店で無料入手可。
by shinocovant
| 2005-05-28 05:10
| そのた